2010年度研究会


第1回 第2回 第3回 第4回

 第1回(通算第9回)

日時:7月10日(土),13:00~17:30(予定),場所:東北大学東京分室

東北大学分室は,サピアタワービルディング10階です.(新幹線東京駅日本橋口-徒歩1分,東京駅八重洲北口-徒歩2分)


[1] 13:00-14:30【招待講演】「JAXA研究開発本部における燃焼不安定性の実験研究」 立花 繁
 (宇宙航空研究開発機構 航空プログラムグループ 事業推進部,研究開発本部 ジェットエンジン技術研究センター併任)

 JAXA研究開発本部のジェットエンジン技術研究センターで実施してきた燃焼不安定性についての研究を紹介する。ガスタービンエンジンからの NOx 排出の低減化には希薄予混合燃焼方式が有力であるが、この燃焼方式では、燃焼器内で圧力変動と発熱変動のカップリングから発生する振動燃焼が問題となって いる。この問題の解決のために、燃焼器壁面の圧力変動計測と火炎の光学的計測を組み合わせた手法によって、非定常燃焼流の解析や燃焼安定化制御を実施して きた。これらの研究内容や最近のトピックについて紹介する。

参考文献:
[1] Tachibana, S., Yamashita, J., Zimmer, L., Suzuki, K. and Hayashi, A. K. (2009) "Dynamic Behavior of a Freely-Propagating Turbulent Premixed Flame under Global Stretch-Rate Oscillations", Proc. Combust. Inst. 32 , 1795-1802.
[2] 立花繁(2008)," 燃焼不安定性の能動制御における光学計測の応用",日本 燃焼学会誌, 第50巻154号,pp.297-306.
[3] Tachibana, S., Zimmer, L., Kurosawa, Y. and Suzuki, K. (2007) "Active Control of Combustion Oscillations in a Lean Premixed Combustor by Secondary Fuel Injection Coupling with Chemiluminescence Imaging Technique", Proc. Combust. Inst. 31, 3225-3233.
[4] Tachibana, S., Zimmer, L., Kurosawa, Y., Suzuki, K., Sato, H., Hayashi, A. K., Nishidome, C. and Kajiwara, I. (2007). “Active control of combustion oscillations in a lean premixed gas-turbine combustor”, Int. J. Vehicle Des, Vol. 43, Nos. 1-4, p.306-321.
[5] Zimmer, L. and Tachibana, S. (2007) "Laser Induced Plasma Spectroscopy for local equivalence ratio measurements in an oscillating combustion environment", Proc. Combust. Inst. 31:737-745.
[6] 立花 繁,ジマー・ロレント,黒澤 要治,鈴木 和雄 (2006) "二次燃料 噴射による振動燃焼の能動制御",ながれ,25巻 第3号. pp.219-227.
[7] 立花 繁,ジマー ロレント,黒澤 要治,鈴木 和雄 (2006),“希薄予混 合ガスタービン燃焼器で発生する振動燃焼の能動制御による抑制”, JAXA-RR 総 18-32.

[2] 14:45-15:15 「合成熱音響デバイス」 大林 敦,琵琶 哲志(東北大)
 熱音響デバイスは共鳴管を用いた定在波型熱音響エンジンとループ管を用いた進行波型熱音響エンジンという「基本形」でスタートした.その後,1999年にBackhausらによってループ管に枝管共鳴管を接続したタイプの進行波型熱音響エンジンが開発された.また,熱音響エンジンと熱音響クーラーを組み合わせたダブルループ型熱音響クーラーも開発された.このように複数の「基本形」を組み合わせた「合成熱音響デバイス」の研究開発が盛んになってきた.
 我々は合成熱音響デバイスを部分系に分けて理解することを試みている.この立場からはダブルループ型熱音響クーラーは熱から音波を発生する機能を担う原動機ループ,仕事流を輸送する機能を担う枝管共鳴管,音波により冷却を行う機能を担うクーラーループという3つの部分系からなる合成系であると見なせる.ダブルループ型熱音響クーラー全体として性能を向上するためには,それぞれの部分系の機能を向上する必要がある.本研究では音響アドミタンスに着目することで,枝管共鳴管の機能を再確認し,枝管共鳴管の性能を向上することを目的とした.
 音場計測から,共鳴管がエネルギー輸送管だけではなく,異なるアドミタンスを有する原動機ループとクーラーループを接続するためのアドミタンス調整器としての機能も担っていることを明らかにした.この観測に基づいて,音響理論を適用し異なる内半径の共鳴管でアドミタンス調整機能を実現した.共鳴管の内半径を20mmから12mmに変えることで動作周波数を変化させずに装置全長を2.26mから1.58mに短縮した.また,原動機ループとクーラーループと枝管共鳴管をT字型配管で接続する新しいデザインの装置が自励振動することも確認している.

[3] 15:15-15:45 最近の研究から (東京農工大)


[4] 16:00-17:00 音速シリーズ「第5章 温度変動とエントロピー変動」 富永昭(殿物理研究所)
 19世紀初頭にフーリエの方程式が提唱されました。局所平衡の仮定のもとに、流体系のエネルギー保存則を議論すると、フーリエの方程式はエネルギー保存則の表れであることが判ります。逆に、フーリエの方程式が成り立つことは局所平衡の仮定を支持する実験的根拠です。エネルギー保存則にはエネルギーに着目した表現とエントロピーに着目した表現とがあります。エネルギー保存則を使って、管内音波に伴う温度変動とエントロピー変動を線型・長波長近似で議論します。管壁の温度が時刻に依らないという境界条件のために熱緩和時間が重要です。最後に、エネルギー保存則を使って、質量保存則を議論します。

[5] 17:00-17:30 その他 参加者全員
次回研究会について,ほか

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